航空無線傍受に関して:今まで聴いている方には無用な情報です。 新たに傍受に興味を持った方に参考になれば・・・・ 2017年10月に若干変更 傍受可能な航空無線(エアバンド)と呼ばれる物は三種類あります。 1.VHF AMモード 108-138Mhz 主に民間機(定期便、プライベート機など)が使用。 2.UHF AMモード 200-400Mhz 主に軍用機(自衛隊機を含む)が使用。 3.HF USB (SSB)モード 周波数は3/6/9/18/22Mhz帯など、季節や管制方面によって変わります。 簡単なのはVHFの受信からでしょう。 アンテナも効率の良い物が比較的小型で設置も簡単です。 中でも民間航空会社のカンパニー無線だと日本語での交信のため理解も簡単です。 但しこのカンパニー無線も最近はデジタルのACARSに移行しつつ有り、通信頻度は激減しています。 もっともACARSは受信機をPCに繋ぐことでモニター上に航空機を表示できるという事で、その気になれば便利?かもしれません。 UHFのエアバンドに関してはあまり触れません。 興味ある方はそういう雑誌やサイトを探してみてください。 以下にHF(洋上管制)とVHFの傍受について書きます。 JALジェットストリームのビデオなどでおなじみの「ピープー・・・ジャパンエア・・・」と言うセルコール入りの交信を聞けるのは、洋上管制です。 (空港の近くでの民間機の離着陸に関する交信、運航に関係する交信などは上記1のVHFで行われます。) 洋上管制も衛星通信(SATCOM)に代わりつつありますが、それらは当然聞くことが出来ません。 昔ながらの短波通信なら聞くことが可能(使用していればですが)です。 これらを聞くには現行機はハンディでALINCO DJ-X11、固定機でALINCO DX-R8辺りしかなさそうです。 ※ DX-8RはVHF/UHFの航空無線は聞けません。 いずれも自分で使ったことはありません。 その他HF用アマチュア無線機の受信機能も使えると思います。 しかし2017年現在、自分が機材更新しないためお奨め機が判りません。 自分がHFを聞くのに使ったのはIC-756/TS-940等で既に絶版です。 2021年現在でHFだけならIC-7300シリーズが安価な割に高性能です。 短波(HF)で使われるSSBの受信操作はVHFのAM受信に比較し複雑に感じるかもしれません。 SSBと言うのはサイドバンドとも呼ばれ、VHF/UHFでおなじみのAM(変調)から側波帯のみを取りだしたUSB/LSB(後述)で聴く物です。 AM(変調)に側波帯は二つあり、それぞれUSB(アッパーサイドバンド)とLSB(ローアーサイドバンド)と呼び、載っている内容は全く同じ物です。 更にAM変調には一定信号の搬送波(キャリア)が中心周波数に有り、これによって復調が可能になります。 SSBとはこの二つある側波帯の一方のみ取り出し、残りの側波帯と搬送波は除去した物のことです。 側波帯のみを受信して、受信機内部において搬送波を作りだし合成し復調します。 無駄な物を省いて単一側波帯の送信に電力を集中し送信効率を良くした物で、アマチュア無線以外は一般的にUSBを用います。 AMに較べると受信信号を絶妙に調整する必要が有ります。 ずれているときれいに復調できないためチューニングには若干コツが必要です。 但し航空無線の場合、周波数自体を公開してるのでそこに合わせれば大概OKです。 ざっと無線機メーカーのサイトを見ると、現行機ではHF/VHF(短波/超短波)両方聞けるICOM IC-7100辺りが良さそうです。 ※ 200Mhz-400MhzのUHF(極超短波)帯=軍用周波数は受信不可能です。 他にも候補機は有りますがいかにも無線機!って感じで、そういうのが好きな方は良いのですが一般家庭の机の上にあったら違和感ありまくりかも・・・ ただ下にも書いてるように無資格でこれらを所持してると違反に問われる可能性が有ります。 この手の固定機(と言います、下にあげる車載器はモービル機と呼ばれます)の場合、マイクを外しても送信できるスイッチ(MOX)が有るので。 無資格の方が購入の際には送信機能を潰し(内部の配線カットなど)てもらう方が安心です。 もう一点!HFはハンディ付属のアンテナや144/430のアマチュア無線用アンテナでは受信困難です。 アマチュア無線のマルチバンド対応固定用アンテナを流用するか、電線を長く切った物や地面と絶縁されている手すりや窓枠など出来るだけ大きな金属を使用することが必須です。 どうしても難しいときはアマチュア無線用車載アンテナでHF用のを流用することになりますが、感度はあまり期待できないと考えられます。 HFを聞く必要はない、カンパニーやタワーが聞ければいいと言う方はハンディ DJ-X81(受信機)/車載 FT-8800(これは無線機) が使いやすいと思います。 他にもVR-160やIC-R6等受信機では評判が良いようですが、使用したことがありません。 IC-R2/3/5の三兄弟は電池の持ちが悪いという情報があります。 現にIC-R2はアルカリ乾電池2本で約12-3時間、IC-R3は専用リチウム電池使用で2時間(液晶モニタ使用)でした。 現役の車載受信機で簡単な物は思い浮かびません。 無線機まで範囲を広げると絶版になったICOM IC-2720 や IC-2820Gなんかは後継機種 IC-2730よりも航空無線に関する受信機能は優れてるようです。 IC-2820Gは後継機と違ってUHFエアバンドを受信可能です。 特にIC-2820Gはフルドットマトリクスによる液晶でカタカナや英数文字が表示でき、これによってメモリーの使い勝手が向上(局名を表示できる)しています。 またアンテナも受信専用の端子がありダイバシティ受信が可能です(モノバンド受信時のみで且つAM受信時には機能しない=航空無線には恩恵が無い=けど・・・)。 そして後継と違ってUHFエアバンドを受信可能です。 ちなみにIC-2820GはGPSも受信できるので位置確認もできます。 他社の現在発売中のアマチュア無線144/430のFM機は、かなりの確率でVHFエアバンド受信機能が付属しています。 もちろん受信のみですがAMモードに切り替わります。 IC-2730の様にカタログに堂々と書かれている物や、C5900やIC-2350J(両方とも絶版)みたく隠し機能になっている物と別れています。 購入の際はお店で確認してください。改造する際は自信がないときはお店の方に頼みましょう。普通は無料でやってくれるはずです。 注! IC-2730はUHFの受信機能が削られているため UHF軍用周波数 は聞けません。 ちなみに IC-2350の改造方法は ttp://www.kmdkg.jp/ab/ic2350.html ← 頭にhをつけてください。 図中のD7は1mmに満たない程度のパーツだったりします。 半田鏝の技術が要ります、自信の無い方はお店にお願いしましょう。 大雑把な方は当該部品をニッパーで潰しちゃうと言う人も居るようですが、他を破損させる可能性もあります。 お店で購入時に言えば大概は無償でやってくれます。 通販の時は予め確認しておきましょう。 なお改造して受信機能が出てくる機器は表示できる範囲が全て聞けるとは限りません。 それは感度が悪かったり混変調と呼ばれる症状が発生したり、PLLがアンロックしたりするからです。 必ず目的の周波数が聞けるかを確認してから購入することをお勧めします。 これは地デジになる前に170Mhz-220Mhzと470-770付近でTV放送が行われていた時代の名残です。 今でも600-700Mhz付近は地デジTVが使用していますが、これらの強力な電波の影響を受けないように工夫してあるようです。 大概110-130Mhz前後は問題有りません。ご安心ください。 軍用周波数に興味ある方のみ、上記の問題に注意してください。 いわゆるデュアルバンド機は二波同時受信が可能なので、APPを聞きながらTWRを受信したり出来るので臨場感は最高です。 受信アンテナですが最近は専用の物が有りますので紹介しておきます。 固定用/車載用 D777/D103 等ですがアマチュア無線用の144Mhz帯用でもVHF航空無線には問題ないです。 あまり短い物は空港から離れると離着陸機など高度が低い物は受信が悪くなります。 上空を通過する(エンルート等)物は問題なく受信できます。 アマチュア無線の免許の無い方がアマチュア無線機を”電波が発射できる状態”で所持するのは不法行為と判断されることがあります。 必ず購入店でPTT(送受信切り替え)を殺して貰い、受信専用となるようにしてください。 受信専用機の場合、そういった問題はありません。 電波法59条に関して 「何人も法律に別段の定めがある場合を除くほか、特定の相手方に対して行われる 無線通信を傍受してその存在若しくは内容を漏らし、又はこれを窃用してはならない」 電波法109条に関して 「無線局の取扱中に係る無線通信の秘密を漏らし、又は窃用した者は、 1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」 アマチュア無線を含み無線従事者は必ず知ってる条文「電波法59条」です。 併せて109条も併記しました。 この電波法は日本国内では全ての人に適用されます。 航空無線通信は「特定の相手方」に対する通信です。 例えばATISでもその通報を必要とする航空機と云う「特定の相手方=航空機」に対する業務通信です。 我々が傍受するのは通信の目的の相手方外となります。 とは言え、日本の法律では傍受する事をどんな無線であっても一切禁じてていません。 しかし受信した内容については絶対に口外してはなりません。(電波法59条) 「無線通信の秘密を漏らし、窃用した」と判断される可能性があります。 また受信内容を他人が聞けるような音量で流す行為も禁止されています。 「無線通信を傍受してその存在」を漏らしたと判断される可能性があります。 この点十分配慮してください。 普段は航空無線を聞く分にも、そんなに目くじら立てて官側が動くとは少ないと思います。 しかし米軍基地の周りや、VIP警護中などは十分注意しましょう。 また自衛隊GCI波(迎撃管制周波数)は国防に関わることなので特に注意が必要です。 以上2005年5月更新/2006年1月/2016年10月一部修正 中古でしか手に入りませんが短波(HF)からVHF/UHF迄聞ける受信機にVR-5000があります。 VR-5000はHF/VHF/UHF各エアバンド全て対応しておりスペックはとても良いのですが、その他の部分では賛否両論です。 一応大きさも手頃で価格も比較的安価で小型でも有り良いと思いますが、なんと言ってもマニュアルが難解なのでこういう物を初めて購入される方は良く検討してください。 新品が手に入る時期はネット上価格6万円前後でした。(2016/10一部修正) アンテナについて以前書いた物を修正し再掲します。2006/2 アンテナの長さの計算式について。 波長(Λ ラムダ)=300 ÷ 周波数 : つまり 8.903Mhzの波長(Λ)は 33.7m位となります。 これでアンテナを作成するとなると、単純な物では1/4Λ系になります。 これにはダイポールアンテナ(DP)やグランドプレーンアンテナ(GP)が代表的です。 1/4と言うことは空中線長が33.7÷4=8.42mと言うのが算出されます。 GPなら垂直部とラジアル部がそれぞれ8.42mであり、DPなら左右に8.42mとなります。 単純な平衡アンテナ端子付きの受信機の場合はその端子にそれぞれ8.42mの線をつないで、各反対方向に展開すればOKとなります。 しかしこれでは部屋の中でアンテナが展開してしまい、現実的ではないので給電線として同軸ケーブルを使用します。 同軸ケーブルの片側は普通にM型コネクタを付けますが反対は屋外に出て行く長さを持たせて切断したままにします。 ここに芯線側と網線側それぞれに先ほどの8.42m線(エレメント)を半田します。 半田箇所を防水して8.42mケーブルを左右に展開すればOKです。 実際に送信するアンテナの場合、先ほどのアンテナ線接続場所(給電点と言います)にはバランと言う同軸ケーブルのインピダンス50Ωに合わせるため装置を付けますが、受信専用ならそこまで気にしなくても大丈夫です。 何故50Ωかというと無線機関係の不平衡アンテナインピダンスは50Ωだからです。 ちなみにテレビやラジオのアンテナは75Ωです。 同軸ケーブル名称について 「5D-2V」 と云うのは50Ω系のケーブルで無線用では簡単に安価に手に入ります。 「5C-2V」 というのは75Ω系のケーブルでTV用としてホームセンターなどでも安く手に入ります。 この二者はインピダンスが違うため互換性がありません。 また後半がFBやSFA等いろいろな物がありますが、これらは絶縁体や網線側の材質を改良した物です。 改良型のケーブルは芯線の太さが違っていたりしますのでコネクタも専用になることが多いです。 ただしM型コネクタは普通は兼用できます。 1/4水平系(DP)でエレメントを水平に展開した物をダイポール(DP)型と呼び、給電点のみ高くして左右エレメントに傾斜を持たせて設置を簡単にした物をインバーテッドVと呼びます。 インバーテッドVの場合、展開角度によってインピダンスが変わることがあります。 利得(ゲイン表示について) ダイポールアンテナのゲイン(利得)を0dbとして基準値とした物がdbdとなります。 市販アンテナの袋などに書かれているゲイン表示はこの事ですが、一点気をつけることがあります。 それは一言「db」と言っても二種類の記載方法があり、先に書きましたdbd表示の他にdbi表示があると言うことです。 つまり実際に存在するダイポールアンテナを基準とした物は、仮想空間に仮想的に設置された仮想アンテナ(アイソトロピックアンテナ= i )に対し2.14dbのゲインがあると言うことです。 しかしダイポールアンテナという物は八木アンテナなどの元になる物でゲインは存在しないことになっています。 これで市販のアンテナの場合はトリックが行われます。 アイソロピックアンテナ < 存在しない物だが0db とし、これを基準値と考えると本来はゲインのない筈の1/4Λアンテナ=GPアンテナやダイポールアンテナにも2.14dbという見かけ上のゲインを表示できるわけです。 これによって本来の性能以上にその製品の性能を良く見せられるわけです。 良心的なメーカーは単位を「db」では無く、「dbd(ダイポール比)」又は「dbi(アイソトロピック比)」と表記しはっきりさせていますが、中には「db」だけのメーカーもあるようです。 2016年現在、dbiに統一されてるような感じです。 |